09_市田柿の色差分解方法による高機能性物質原料化及び高機能性食品の商品化プロジェクト事業 [平成28年度]

市田柿の色差分解方法による高機能性物質原料化及び高機能性食品の商品化プロジェクト事業 [平成28年度]

支援テーマ

市田柿の色差分解方法による高機能性物質原料化及び高機能性食品の商品化プロジェクト事業

支援者

 

商工会名 喬木村商工会
担当主任経営支援員等名 宮下 隆幸

専門家

専門家名 山田 修
主な保有資格 上席専門経営支援員
主な専門分野 農商工連携・新製品開発

企業概要①

企業名 株式会社ふくやま
業種 食品製造業
資本金 1,400万円
従業員数 35名(パート4名)

事業概要①

創業(設立年月日) 昭和50年9月4日 *創業は大正5年
住所 長野県下伊那郡喬木村400-84
事業内容 菓子種(もなか皮)製造

企業概要②

企業名 小池手造り農産加工所有限会社
業種 食品製造業
資本金 1,100万円
従業員数 32名(パート14名)

事業概要②

創業(設立年月日) 平成13年4月2日設立 *創業は平成5年
住所 長野県下伊那郡喬木村13640
事業内容 農産物の受託加工、農産加工品の製造・販売

企業概要③

企業名 株式会社戸田屋
業種 食材卸、食品製造業
資本金 1,200万円
従業員数 85名

事業概要③

創業(設立年月日) 昭和25年1月設立 *創業は寛永5年(1628年)
住所 長野県飯田市松尾上溝2945-12
事業内容 製菓原材料・食品原材料の卸売、和菓子の製造小売、農産物の栽培加工販売

支援の概要

 平成27年6月より、工業部会の正副部会長である(株)ふくやま 福山康雄社長と小池手造り農産加工所(有) 松島敏社長が中心となって部会事業を展開してゆく中で、互いに食品製造に携わる者として、両社のインフラを整備して新商品開発をしたいと考えていた。しかし具体的な形が見えてこなかったために、山田上席専門経営支援員へ支援を依頼した。

平成27年11月に、山田上席専門経営支援員より果実等の有効成分を活用する形で機能性食品による共同事業化を提案した。具体的には、当地域特産である市田柿(干し柿)は、製造過程で柿皮等の残渣が大量発生しながら廃棄されているが、「色差分解処理」という特許技術によって、その柿皮等残渣から有効成分(柿タンニン酸)が抽出できることを紹介した。

 

抽出された有効成分(柿タンニン酸)の活用法を平成27年12月から平成28年2月にかけて協議する中で、両社長より食品へ添加することで、柿タンニン酸の抗菌・防カビ性によって「日持ち効果への応用」と、更に「低糖度化への期待」ができることが発案されたため、その実現性に向けて主に開発研究費として、3月に長野県地域産業活性化基金助成金を申請した。

 

県中小企業振興センターによる4月の現地ヒアリングと5月の審査会、6月の採択者説明会は4名で対応。特に山田上席専門経営支援員は専門的な質問に対応し、また連携者である特許技術保有者の中村晃一先生、長年農作物の研究に携わられている信州大学名誉教授の大井美智男先生、柿原料供給者の(株)戸田屋様(飯田市)、成分抽出装置保有者のテクノマックス(株)様(茅野市)とのパイプも構築した。

 

7月に第1回会議を開催しプロジェクトを開始した。本事業の目的、委員会運営方法、スケジュール設定の確認を行い、意識を共有化した。8月の第2回会議では、市田柿の皮や実に温度や圧力等の条件を変えながら抽出した6サンプルの成分試験の分析結果について考察し、またこれからの抗酸化効果の研究方法についても協議した。

 

現在は、抽出した柿エキスを食品に添加した時の抗菌・防カビ性の試験、また濃度別の保存試験と生菌数測定試験および簡易的官能評価に向けて、食品検査機関と打合せている。また本事業における製品化状態の具体像、提供できる形状についても打合せている。

 

上席専門経営支援員の活用とともに、商工会に期待される機能、即ち[1]有効な人的繋がり、[2]資金手当て、[3]リスクの軽減化を実現でき、また職員の支援能力も向上できる補助事業活用のメリットはとても大きいと感じている。

 

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【機能性食品開発委員会の様子】

 

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【機能性食品開発研究体制】

支援を受けた企業(事業者)の声

◇株式会社ふくやま 福山康雄社長

非常に面白い話に進んでいます。常日頃はお得意先との商談でも主導権はお得意様にあるので…。今回は最前線で研究開発ができることに喜びを感じております。いろいろな方のお知恵を借りて、夢を追いかけようと思います。

 

◇小池手造り農産加工所有限会社 松島 敏社長

地域資源である市田柿の皮・残渣からの有効成分の活用方法がテーマになり、「色差分解」と言う未知の世界を指導して頂き、食品に限らず、繊維・塗料・防腐剤等々、様々なアイデアが出されるようになってきました。今後さらに地域資源活用をテーマに取り組んでいけることと思います。

 

フォローアップ

 9月に(株)ふくやま 福山康雄社長、小池手造り農産加工所(有) 松島敏社長、山田上席専門経営支援員、主任経営支援員の4名で、今後の事業の進め方について打ち合わせを行った。その中で、[1]抗菌・防カビ性の実証実験は長野県内では行えないため、中村晃一先生と日本食品分析センター(東京)へ依頼することの確認、[2]柿タンニン酸を添加した食品の保存試験・生菌数測定検査・官評価を長野県工業技術総合センター食品技術部門へ依頼するに当たり、各社からの製品提供と設定する日数、投入量割合などの原案の確認、[3]本事業における製品化状態の具体像、提供できる形状、サンプル品の形状の確認を行った。