住 所:長野市若穂綿内6436
事業概要:社寺や住宅のかわらぶき工
従業員数:12 名
現長野市商工会長、2025 現代の名工を受賞
壮青年部では、新たな取組として長年にわたり地域経済を支え、さまざまな困難を乗り越えながら事業を継続・発展させてきた経営者を取材し、その経営姿勢や地域との関わりを学ぶ「老舗企業から学ぶ地域に根差した企業づくり」をスタートしました。

聞き手 綿内瓦工業について聞かせてください。
西 宮 昭和10年に祖父が創業し、27年に法人化しました。現在は12名の従業員を抱え、瓦工事に加えて板金工事にも事業を拡大しています。かつては瓦工事が9割を占めていましたが、現在は瓦と板金の受注がほぼ半々です。時代の変化に合わせて事業を変化させながら、90年を超える歴史を歩んできました。私は高校卒業と同時に愛知県で修行し、地元に戻って30歳から3代目として事業を営んできました。
聞き手 長く事業を続けてこられた秘訣は何ですか。
西 宮 後継者と人を育て、任せることが大切です。
私が30歳の時に父が脳梗塞で倒れ、突然会社を背負うことになりました。その後、ベテラン社員の世代交代も重なり、仕事はあるのに人がいないという苦しい時期を経験しました。だからこそ、人を育て、任せるところは任せることを大切にしています。
聞き手 その苦しい時期をどう乗り越えましたか。
西 宮 自社の技術を生かし、新しい分野に挑戦しました。
それまで住宅の瓦工事を中心としていましたが、菩提寺の新築工事、善光寺や真田邸をはじめとする神社仏閣の復元・修復工事にも取り組みました。元の瓦を実測し、忠実に再現する高い技術が求められる仕事です。「どこにも譲れない強み」を持つことが重要だと考え、技術の研鑽を重ねました。平成2年の全国一級技能士大会での優勝も、会社の技術力を広く知っていただく転機となりました。さらに令和7年には現代の名工を受賞することができ、大変光栄に思っています。
聞き手 地域とのつながりについて教えてください。
西 宮 もっと早く、いろいろな人が集まる場所に顔を出せばよかったと思います。
商工会青年部や青年会議所などで多くの人と出会い、異業種との交流が仕事につながった経験もあります。地域内だけでなく長野市全域など、さまざまな人が集まる場所に積極的に出ていくことが大切だと感じています。
聞き手 若い経営者へ伝えたいことは何ですか。
西 宮 自分から動いて、チャンスをつかんでほしいと思います。
会社に引きこもっていては、なかなかチャンスは巡ってきません。いろいろな人と接点を持ち、自分の得意分野でリーダーシップを発揮することが大切だと思います。
聞き手 今後の展望について教えてください。
西 宮 規模よりも、技術を次の世代へつなぐことを大切にしたいです。
息子は奈良で10年間修業し、国宝や文化財の瓦工事を経験して戻ってきています。また、若手職人の育成にも力を入れています。会社の規模は小さくなっても、これまで培ってきた技術水準は次の世代にも守り続けてほしいと思っています。
西宮会長は大変エネルギッシュな方で、その力強い語り口と行動力に圧倒されました。苦しい時期にも果敢に新たなことへ挑戦し、老舗企業ならではの瓦工事の技術を磨きながら、住宅分野から社寺仏閣の復元・修復という新たな道を切り開いてこられました。伝統を守るだけでなく、自社の強みを見極め、時代の変化を捉えて新たな分野へ踏み出す、その先見性と経営者としての姿勢に大変感銘を受けた取材となりました。

インタビューの様子
(左から西宮会長、原山壮青年部副部長、池田壮青年部理事)