ONE POINT ADVICE
経営ワンポイントアドバイス
株式会社ビーワン・クリエイト 代表
中小企業診断士
平田 由幸 氏
原材料費やエネルギー費、人件費の上昇が続き、多くの中小企業にとって厳しい経営環境が続いています。「価格を見直したいが、お客様が離れてしまうのではないか」と不安を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
一方で、同じような環境下でも、価格改定を行いながらお客様に選ばれ続けている会社もあります。その違いはどこにあるのでしょうか。

商品やサービスを選ぶ際、お客様は価格だけを見ているとは限りません。
たとえば、「品質が安定している」、「納期をしっかり守ってくれる」、「対応が早い」、「柔軟な要望にも応じてくれる」、「実績があり安心して任せられる」、「専門知識があり相談しやすい」・・こうした点を重視しているお客様も多くいらっしゃいます。
また、競争相手は同業他社だけとは限りません。お客様にとっては、「別の商品」「別のやり方」で目的を満たせるなら、それも比較対象になります。
まずは、次の比較シートのように、自社がどのような軸で比較されているのかを整理してみることが大切です。
そして、さらにもう一歩踏み込んで考えたいのが、顧客に提供している価値、つまり「顧客ベネフィット」です。
私たちは提供している商品やサービスそのものに目が向きがちですが、お客様が本当に求めているのは、その先で得られる価値です。このベネフィットは、お客様自身が明確に意識していない場合もあります。だからこそ、自社の価値として分かりやすく伝えることが重要です。
1)正確な原価を把握する
「なんとなく利益が厳しい」という状態では、価格交渉に説得力が生まれません。材料費、外注費、労務費、物流費、光熱費など、どの費用がどれだけ増えているのかを把握することが第一歩です。
数字で説明できるようになると、お客様にも状況を理解していただきやすくなります。
2)自社の提供価値を見出す
価格以外で、お客様が自社を選んでいる理由は何でしょうか。「短納期対応」、「小ロット対応」、「品質の安定」、「相談しやすさ」、「提案力」、「専門性」・・など、日頃は当たり前と思っていることが、実は大きな価値になっていることがあります。
「何を提供している会社なのか」を改めて整理することで、価格交渉の軸が見えてきます。
3)自助努力の余地を探す
価格改定の前に、自社で改善できることがないかを見直すことも重要です。「手戻りが多い」、「探し物に時間がかかる」、「情報共有が不十分」、「判断待ちで仕事が止まる」などのムダは、気づかないうちに利益を圧迫しています。
社内の改善によって吸収できる部分があれば、それも立派な経営努力です。
価格競争に巻き込まれやすい会社は、価格だけで比較される土俵に立っています。一方、選ばれる会社は、価格以外の比較軸を自らつくっています。
「この会社は対応が早い」「困ったときに相談しやすい」「安心して任せられる」・・そうした評価の積み重ねが、価格だけで判断されにくい関係をつくります。
値上げ時代に必要なのは、単に価格を上げることではなく、自社の価値を見直し、選ばれる理由を明確にすることかもしれません。
この機会にぜひ、『お客様は何を理由に当社を選んでいるのか』を改めて考えてみてはいかがでしょうか。