
祖業をベースとしたロゴ
株式会社十一屋は、北国街道の庄屋を起源とし、信濃町で盛んだった鍛冶業による刃物製造販売に始まり、金物、農業用機械、住宅資材へと取扱品目を広げながら事業を展開してきました。現在は9代目として事業を承継する中で、従来の延長では通用しない市場環境の変化に直面しています。
住宅資材販売業は、かさばる商品を扱う特性から一定の商圏で成り立ってきましたが、長野オリンピック後の建設需要の減少や交通網の整備により、長野市内の大手事業者の進出が進み、競争環境は大きく変化しました。メーカー製品を仕入れて販売する業態では商品による差別化が難しく、価格以外の観点での競争力強化が求められるようになりました。
また、BtoBの業態である当社においては、取引先の受注がなければ自社の仕事も増えないという構造的な課題があります。取引先である地域建設事業者においても、「価格競争に勝てない」「ブランド力や信用力が弱い」「営業力に課題がある」といった問題を抱えており、受注環境は厳しさを増していました。

エンドユーザ―向けセミナー風景
こうした状況の中で、当社は単なる資材供給にとどまらず、取引先の競争力そのものを高める支援へと役割を転換する必要があると考えました。その転機となったのが、住宅分野における省エネ基準の強化と、認定制度および補助金制度の拡充です。当社ではこれらに対応するため、住宅仕様や省エネ計算、補助金申請に関する知識を蓄積し、セミナー開催や情報提供を通じて取引先の理解促進を図ってきました。さらに、同業事業者と連携し、補助金申請を支援する体制を構築することで、制度を活用しやすい環境整備にも取り組んでいます。
また、営業力の強化に向けては、建築士やファイナンシャル技能士などの資格を取得し、住宅コンサルティングの株式会社ELFを設立しました。住宅内覧会や各種イベントでのセミナー実施、資金計画や情報提供の支援などを通じて、取引先単独では対応が難しい分野を補完し、協業による営業体制の強化を図っています。
これらの取り組みにより、当社は「モノ」の提供から「コト」の提供へとシフトし、取引先とともに価値を創出する関係性を築いてきました。また、継続的な情報提供や相談対応を通じて、信頼関係の強化にもつながっています。

事業者向けセミナー風景
併せて、2年前より商工会副会長として、経営指導員と協働して各部会でのセミナー開催や新規及び第二創業者向けの起業塾を単会で開催するなどして、地域事業者との連携や知見の共有にも取り組んでいます。
今後も、取引先の課題解決に寄り添いながら「コト」の価値提供を一層強化し、地域事業者とともに持続的な発展を目指してまいります。