~宝と宝がつながる未来~

田畑、山、エネルギー、人を結び 100年先も輝く世界へ

地域の宝(農業、林業、エネルギー、人)と福祉・教育をそれぞれつなげて協力し合える「輪」をつくり、誰もが力を発揮できる住みよい社会を目指します。

 上記の理念のもと、「わっこ谷の山福農林舎」は約20名の地域住民が主体となり、2019年に設立されました。法律で定められた特定非営利活動全20種類のほぼ全て(19種類)を活動範囲に入れる珍しいNPO法人です。
 私は東京で生まれ、神奈川でソーシャルワーカーとして働いていた2007年に、妻が妊娠、「子育ては村でしたい」という夫婦の想いから、全国をまわって移住先の「村」を探していました。
 筑北村は県内地方都市や東京・名古屋へのアクセスの良さ、日照率の高さや人口規模、標高、屋根の雪下ろしが必要ない等の理由から、移住先の有力候補でした。そんなとき「村には障がい者施設がなく、整備したいが運営できる人材がいない」という話があり、村社会福祉協議会での障がい福祉部門の立ち上げ、運営に携わるご縁を2008年からいただきました。
 その後、村社協で働いた2019年までの間に、障がいを持たれた方が「通う・過ごす場所」、「働く場所」、「暮らす場所」、「相談する場所」の計10事業を開設しました。「障がい」は「社会側の障壁」だということが、国内でも少しずつ認知が進んできています。「仕組みをつくることで『誰もが役割がある地域づくり』をスピード感を持って進めたい」という想いが法人設立に向かう原動力となりました。

減農薬栽培りんご

当地のような過疎の進んだ中山間地域(平坦な耕地の少ない平野~山地間の地域)では、各自が個々の事業に専念するだけでなく、複合的な視点から、農、林、エネルギー、教育、福祉といった事業をそれぞれ連携し、協働を推進していくことが求められます。
 平野に比べて効率で劣る中山間地域での農業を継続していくために、付加価値の高い作物――減農薬栽培りんご、天日干し米、原木きのこ、園芸用のサクラ等――を生産しつつ、地域の困りごとに様々な人材を派遣する「おてこ衆代行サービス」を実施しています。
 おてこ衆代行サービスでは、田畑の耕起や作物の収穫などの農家の手伝いや、空き家の管理、引っ越しの手伝い、庭木の剪定、草刈り、清掃、書類申請等々に広く対応し、人手不足を解消するとともに、放置林は間伐や、用材に適した木を選んで切る「択伐」、あるいは育ちすぎた屋敷林の特殊伐採など、森林を健全な姿に戻す整備を行い、それによって得られた材木を、温泉施設の熱源に再利用して灯油の使用量を年間6万㍑削減するとともに、ストーブ用の薪、DIY材、アロマオイル等にも活用、それらの製造を通して地域の雇用も掘り起こし、循環型社会の実現へと歩み続けています。

特殊伐採

 また豊かな環境を活かして、自然体験活動や農山村体験の希望者を受け入れ、イベントを開催、関係人口と交流人口の増加にも寄与しています。
 「わっこ谷の山福農林舎」は、スタッフはもとより、会員、高齢者、障がい者、ひきこもり者など多様な地域住民が「できること」を持ち寄って運営されています。地域住民同士が「お互いに必要な関係」となっていくことが、地域の豊かな未来へとつながると考えています。
 皆さんもわっこ谷で「宝さがし」をしながら、一緒に過ごしてみませんか?皆さんのお越しを心よりお待ちしております。

わっこ谷の
山福農林舎

住所/〒399-7501 長野県東筑摩郡筑北村西条3846番地
TEL・FAX/0263-66-3035
E-mail/info@yamafuku.org   URL/https://yamafuku.org

「この人に注目」をシリーズで毎号掲載しています。商工会地域内で頑張っておられる方をご紹介ください。

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