ONE POINT ADVICE

経営ワンポイントアドバイス

失敗しない会社

中小企業診断士

金丸 修一 氏

1%の“ひらめき”

 発明王エジソンは、数々の名言を残しています。その一つに「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」があります。その解釈としては、「エジソンのような大発明家であっても、ひらめきはわずか1%に過ぎず、そのほとんどは努力であり、努力することがいかに大事かを表している。」というものが一般的なようです。
 その一方ネットで調べてみると、エジソンは次のような発言を会見で述べていたという事実もあります。「私は1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄になると言ったのだ。なのに世間は勝手に美談に仕立て上げ、私を努力の人と美化し、努力の重要性だけを成功の秘訣と勘違いさせている。」エジソンが人一倍の努力家であったことは広く知られていますが、そのエジソンがたった1%しかない“ひらめき”が発明にとってとてつもなく大きなウエイトを占めていると語っていることは、興味深いことだと思います。

1万通りの“うまく行かない方法“

エジソンの名言にはこんなものもあります。「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」これは負け惜しみではありません。エジソンの発明で有名なものに“電球”があります。京都の石清水八幡宮の竹をフィラメントとして白熱電球を完成させたのですが、この竹にたどり着くまでに1万通りにおよぶ材料で試行錯誤を繰り返し、それでも諦めず成功に導いたことを「うまくいかない方法を見つけただけ」と言ってのけるのはエジソンらしい哲学とも、素晴らしいユーモアセンスとも捉えることができるでしょう。

今までのやり方

 ところで中小企業の経営者、個人事業主の皆さんの経営上の悩みにはどんな事柄があるのでしょうか?①売上があがらない②良い人材が確保できない③コスト高に見合う価格転嫁ができないetc。
 数え上げればきりがないかもしれませんが、仮にこの3つについて、次のように言い換えることもできると思います。①今までのやり方では、売上があがらない②今までのやり方では、良い人材が確保できない③今までのやり方では、コスト高に見合う価格転嫁ができない。

激動の時代の救世主

 今までのやり方がダメなのであれば、新しいやり方でやれば良いだけです。ではどうやって新しいやり方を見つければ良いのでしょうか。それには“考える”、 “調べる”、 “相談する”、そして“やってみる”ことです。たぶんうまくいかないでしょう。大事なのはここで諦めるか、繰り返しチャレンジするかです。考えて、考えて、試行錯誤を繰り返した経営者にある日突然“ひらめき”が降りてくるのだと思います。雲をつかむような話に聞こえるかもしれませんが、この“ひらめき”こそが、発想力であり創造力となって経営革新を推進し、激動の時代を生き抜く救世主になるのではないでしょうか。

(商工連ながの 2025.8 Vol.401 掲載)
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