中小企業の新たな事業活動
高品質な金属3Dプリンタ粉末で、
ものづくりの未来と社会への
貢献を目指す
ヒカリ素材工業株式会社 東御市商工会
〒381-4393 長野県長野市鬼無里1687-1
TEL:0268-62-4357
FAX:0268-62-4358

銅、亜鉛、アルミニウムの粉末
私たちヒカリ素材工業株式会社は、東御市で非鉄金属粉末の製造を行っております。創業は1985年、本年40周年を迎えます。
ここ東信の地は、1940年代に自動車部品の製造会社が進出して以来、アルミニウム合金鋳造に携わる企業が発展して参りました。長野県は年間を通して日照率が高く、湿度が低いという環境にあり、鋳物の製造にとっては良い影響を及ぼしています。当時、そのアルミニウムの切粉などのリサイクルを行っていた初代社長は、より付加価値の高い再利用法を模索し、国立研究開発法人物質・材料研究機構の特許・実用新案「金属粒子の製造法・製造装置」を導入、アルミニウム粉末の製造を始めました。この製造装置はディスクアトマイズ法という製造方法を用いたもので、その粉末は数ある粉末製造方法の中でも特徴的な性質を持っております。この製造方法でアルミニウム粉末の量産製造を行っている会社は、国内ではごく僅かです。
現在は非鉄金属のアルミニウム、亜鉛、銅、錫などの合金の粉末を製造しております。粉末の用途は、ろう付け(金属の接合)に使用されるろう材、粉末を吹き付けて対象物に塗膜を形成する溶射用材料、半導体製造には欠かせないシリコンウエハーや電子部品等に薄膜を形成させるターゲット材等があります。近年では私たちの粉末の、粒形が球状、大きさが均一で流動性が良い、含有酸素量が少ない等の利点が合致し、金属3Dプリンタで、航空宇宙・自動車関連などに組込まれる部品を製造する際の使用原材料としての受注が伸長しております。
航空宇宙関連の事業に参入するということで、より高い品質の製品を製造し、維持管理しなければなりません。そこで、県商工連や東御市商工会のお力を借り、ものづくり補助金の採択を受け、新たな設備を導入しました。またJISQ9100という、航空宇宙産業に特化した品質マネジメントシステムの認証を取得するなどの挑戦を行ってきました。製品の開発に至っては、試行錯誤を重ね、ようやくお客様の要望に見合う品質の粉末製造技術が確立してきたところです。この需要の取り込みを狙い、本年に新工場を、本社の隣接市である小諸市に建設する計画を進めております。

東御市八重原より本社・工場を望む
金属3Dプリンタでは、軽量かつ高強度・高剛性のメッシュ構造や中空構造のような複雑な形状の部品や、オーダーメイドの人工関節など、従来の機械加工では困難だったものが作れるようになります。また必要な分だけの生産も可能になり、廃棄物の削減ができます。これらの効果としてCO2の排出量削減が期待でき、持続可能なものづくりに貢献できます。私たちもこのような技術を通じて、社会に少しでも貢献できるよう、これからも「地球環境と調和した経営活動で、お客様の満足する製品を納期通り提供する為に、継続的な改善の取り組みを推進し、創造の心で社会に貢献する」という経営理念を基に、金属3Dプリンタをはじめ様々な事業活動に励んで参ります!
(商工連ながの 2025.8 Vol.401 掲載)